Monday, March 28, 2011

今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし

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今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし

今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし

2011/3/28 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

日本では疑問視されていたスマートグリッド/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E7EAE2EAE4E2E0E6E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXの 必要性が今、急速にクローズアップされ始めている。世界一停電が少ないとされた日本の電力網への信頼が、今回の東日本大震災で大きく揺らいだからだ。津波 によって引き起こされた福島第1原子力発電所の事故で、首都圏の電力需給が逼迫(ひっぱく)、東京電力は戦後の混乱期以来となる計画停電を敢行する事態と なった。

1.当面の事業機会は、HEMSよりBEMSの方が多い
2.HEMSが事業として成功するカギは「行動科学」にある
3.xEMSはクラウド化、ソーシャル化、スマートフォンの普及と共に進展する
4.日本のxEMSは、互換性と相互運用性の確保が難しくなる
5.スマートグリッドの新ビジネスモデルは米国から出現する
6.電池交換型EV(電気自動車)は中国で普及する
7.Vehicle-to-Grid(V2G)技術の実用化は2015年以降になる
8.日本ではスマートグリッド関連の新しい事業機会は2020年までほとんど無い

図1 スマートグリッドと「xEMS」がつくり出す事業機会  2011年3月31 日に発行予定の『スマートグリッドのビジネスモデル(北米編)』(日経BP社)の一部を基に作成。HEMSはホーム・エネルギー・マネジメント・システ ム、BEMSはビル・エネルギー・マネジメント・システムの略で、xEMSはこうしたエネルギー・マネジメント・システムの総称である。

「日本の電力網はすでにスマート」。この言葉に代表されるように、国内の電力業界はスマートメーターを使って電力需給を制御す るスマートグリッドの導入には消極的だった。このため、日本では今後10年ほどはスマートグリッド市場が成長せず、新しい事業機会やビジネスモデルは米国 が主導するという仮説が成り立っていた(図1)。ところが、今回の大震災で状況は一変する。

■需給の自動調整で計画停電が不要に

日本の電力網は、確かに送電と配電の自動化は進んでいるが、需要側の電力計周辺が欧米の配電網に比べて後れをとっている。このため、電力需要をリアルタイ ムかつ正確に把握しながら需給を細かく制御するといったことが難しい。電力需要のピークが供給能力を上回りそうになると、あわてて意図的な停電(計画停 電)を起こすことで、不慮の停電をなんとか回避しているのが今の状況である。

重要なのはピーク需要の抑制であり、需要側でやみくもに節電するだけでは経済的な悪影響も無視できない。また、今回に関しては何度も停電となった地域がある一方、全く停電がない地域もあり、不公平感が拭えない。

もしスマートメーターで電力を「見える化」し、需要に応じて動的に変動する電力料金プランを導入すれば、いわゆるデマンドレスポンス(需要側の反応・応 答)が機能し始める。例えば、電力需給が逼迫してくれば電力料金を高く設定することで、高い料金を払いたくない消費者は電力消費を抑制する。料金が高くて も使う必要のある企業などが必要なだけの電力を使うことで、限られた供給能力でも自動的に需給バランスを調整できるというわけである。

■スマートメーターの導入進む米国、「仮想発電所」も

スマートメーターの大規模な導入が進んでいる米国のカリフォルニア州では、米Pacific Gas & Electric(PG&E)社や米Southern California Edison(SCE)社といった大手電力事業者によってデマンドレスポンスが実用化されている。実際に真夏のピーク時でも電力の消費需要をうまく調整す る仕組みが機能しているという。

さらに、従来型の電力会社だけではなく、いわゆる「仮想発電所」という新しいビジネスモデルの事業を成立させたベンチャーまで現れている。米EnerNOC社や米Comverge社といった企業だ。

これらの企業は、消費電力を減らす余裕がある需要家を集めてデマンドレスポンスを許容してもらい、電力事業者のピーク需要抑制を支援している。ピーク需要 の抑制に対して電力事業者が支払う報酬とデマンドレスポンスに協力した需要家に支払う報酬との差額が、これらの企業の収益となる。

ピークシフトを担う仕組みは、デマンドレスポンスだけではない。米国では、電力需要の平準化や再生可能エネルギー/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E5E2E3EBE0E2E0E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXの 大量導入に向けて、「エネルギーストレージ」の研究開発や実証試験も活発に行われている。具体的には、リチウム(Li)イオン電池などの蓄電池に加え、電 気エネルギーを運動エネルギーとして蓄えるフライホイール、空気を余剰電力で圧縮して地下の空洞などにためておき、ピーク需要時に空気を開放してタービン を回し発電する圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)といった技術がある。

氷を利用する手法もある。米Ice Energy社の「Ice Bear」は、夏の夜間にオフピークの電力で水から氷を作り、翌日のピーク時に冷房でコンプレッサーの代わりに氷の冷気を使う(図2)。 氷がすべて溶けるまでには数時間かかるので、真夏のピーク需要の時間帯をほぼカバーできるとする。日本でも「エコアイス」として氷蓄熱はかなり普及してい る。しかしこの米国の取り組みは、スマートグリッドに統合することによって、全体最適を目指した動きといえる。カリフォルニア州南部では、この「Ice Bear」を数多く接続して構成する53MW(メガワット)規模のエネルギーストレージによるスマートグリッド実証プロジェクトも進められている。

■今回の危機を新たなる成長のバネに

米国でスマートグリッドの導入が進んだ背景には、電力網の老朽化やニューヨークで発生した大停電、カリフォルニア州の電力危機などがある。日本では電力網の整備はしっかりと行われてきたが、電力の供給と消費のあり方にはあまり着目してこなかった。

今回の福島の原発事故により、その部分を見直す必要性に迫られるが、一方で石炭や天然ガスによる火力発電所を増やして温暖化ガスの排出を増やすわけにもい かない。となれば、スマートメーターを活用して電力需要を適切に制御しながら省エネルギー化を進めることが、有効な手段といえる。同時に、風力発電や太陽 光発電などの再生可能エネルギーと燃料電池/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E4E6E5EBE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX、ガスエンジン・コージェネレーション/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E4E3E0EBE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXなどによる分散電源、Liイオン電池によるエネルギーストレージなどを迅速に普及させる必要がある。

当面は、夏時間(サマータイム)制度や電力の総量規制などでしのぐ手もあるかもしれない。しかし、中長期的にはスマートグリッドの構築による需要制御と再 生可能エネルギー導入に取り組まざるを得ない。それが根本的な問題解決につながるだけでなく、停滞する経済を成長させる原動力にもなるからだ。

例えば、スマートメーターを全国に配備するだけでも、1兆円以上の市場が新たに発生すると見られる。太陽光や風力、燃料電池、Liイオン電池の大量導入も 数兆円規模の市場を生み出すだろう。財源をどう捻出するかなど知恵を絞る必要はあるものの、今回の危機を、次の日本をつくるためのきっかけとする「転換 力」が、スマートグリッドの構築には秘められている。

(テクノアソシエーツ 大場淳一)

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