Wednesday, March 30, 2011

特別リポート:地に落ちた安全神話─福島原発危機はなぜ起きたか

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特別リポート:地に落ちた安全神話─福島原発危機はなぜ起きたか

2011年 03月 30日 11:22 JST

布施 太郎

[東京 30日 ロイター] 巨大地震と大津波で被災した東京電力(9501.T)・福島第1原子力発電所から深刻な放射能汚染が広がっている。「想定外だった」と政府・東電が繰り返す未曽有の大惨事。

ロイターが入手した資料によると、事故の直接の原因となった大津波の可能性について、実は東電内部で数年前に調査が行われていた。なぜ福島原発は 制御不能の状態に陥ったのか。その背後には、最悪のシナリオを避け、「安全神話」を演出してきた政府と電力会社の姿が浮かび上がってくる。

底知れない広がりを見せる福島第1原発からの放射能汚染。敷地内で原子炉から外部に漏れたと思われるプルトニウムが検出される一方、1、2号機の タービン建屋の外に放射性物質が流出していることも明らかになった。核物質を封じ込めるために備えた安全策は機能不全に陥っている。経済産業省原子力安 全・保安院の担当者は29日未明の会見で「非常に憂える事態だ」と危機感をあらわにした。

<埋もれた4年前のリポート、福島原発モデルに巨大津波を分析>

「津波の影響を検討するうえで、施設と地震の想定を超える現象を評価することには大きな意味がある」。こんな書き出しで始まる一通の報告書があ る。東京電力の原発専門家チームが、同社の福島原発施設をモデルにして日本における津波発生と原発への影響を分析、2007年7月、米フロリダ州マイアミ の国際会議で発表した英文のリポートだ。

この調査の契機になったのは、2004年のスマトラ沖地震。インドネシアとタイを襲った地震津波の被害は、日本の原発関係者の間に大きな警鐘となって広がった。

とりわけ、大きな懸念があったのは東電の福島第1原発だ。40年前に建設された同施設は太平洋に面した地震地帯に立地しており、その地域は過去 400年に4回(1896年、1793年、1677年、1611年)、マグニチュード8あるいはそれ以上と思われる巨大地震にさらされている。

こうした歴史的なデータも踏まえて、東電の専門家チームが今後50年以内に起こりうる事象を分析。その報告には次のような可能性を示すグラフが含まれている。

―福島原発は1―2メートルの津波に見舞われる可能性が高い。

―9メートル以上の高い波がおよそ1パーセントかそれ以下の確率で押し寄せる可能性がある。

―13メートル以上の大津波、つまり3月11日の東日本大震災で発生した津波と同じ規模の大災害は0.1パーセントかそれ以下の確率で起こりうる。

そして、同グラフは高さ15メートルを超す大津波が発生する可能性も示唆。リポートでは「津波の高さが設計の想定を超える可能性が依然としてあり うる(we still have the possibilities that the tsunami height exceeds the determined design)」と指摘している。

今回の大震災の発生を「想定外」としてきた東電の公式見解。同リポートの内容は、少なくとも2007年の時点で、同社の原発専門家チームが、福島原発に災害想定を超えた大津波が押し寄せる事態を長期的な可能性として認識していたことを示している。

この詳細な分析と予見は、実際の防災対策にどこまで反映されたのか。ロイターの質問に対し、東電の武藤栄副社長は「(福島第1原発は)過去の最大 の津波に対して余裕をもっている設計にしていた」とは説明。それを超えるような津波がありうるという指摘については、「学会の中で定まった知見はまだな い」との認識を示すにとどまった。

<従来の事故想定は機能せず>

大震災発生から5日経った3月16日。上原春男・佐賀大学前学長は、政府から一本の電話を受けた。「すぐに上京してほしい」。声の主は細野豪志・ 首相補佐官。東京電力の福島第1原発で発生した原子炉事故を受け、政府と東電が立ち上げた事故対策統合本部への協力を依頼する緊急電話だった。

着の身着のままで佐賀空港から羽田空港に飛んだ上原氏は、統合本部のある同社東京本店に足を踏み入れ、思わず目を疑った。節電で照明を落とし、休 日であるかのように薄暗い館内。その中を眉間にしわを寄せた同社社員や経済産業省原子力安全・保安院の職員たちがせわしなく行き来する。かつて彼らが見せ たことのない悲壮な表情を目にして、上原氏はすぐさま事態の異様さを直感したという。

上原氏の専門はエネルギー工学で、発電システムのプラントなどにも詳しい。6号機まである福島原発の原子炉のうち、3号機の復水器の設計に携わった。その知見を借りたい、というのが細野補佐官からの依頼だった。

上原氏がかつて手掛けた3号機はすでに水素爆発を起こしていた。外部電源を失っているため、消防のポンプ車が海水をくみ上げ原子炉格納容器内に注 入するという、なりふり構わぬ対応が続いていた。社内に危機管理のノウハウを持つはずの東電が、外部の専門家に救いを求める。それは従来の事故想定が機能 しない段階まで事態が悪化していることを物語っていた。

「危機対応も含めて安全管理のプロがそろっていたら、こんな状態にならなかったはずだ」と上原氏は悔やむ。

<遅れる判断、海水注入>

原子力発電の世界に「アクシデント・マネジメント(過酷事故対策)」という言葉がある。「コンテンジェンシ―・プラン(危機対応計画)」と言い換 えてもいい。1979年の米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故を踏まえ、欧米などで導入が進み、日本でも1992年に原子力安全委員会が整備を勧 告した。「原発では設計や建設段階、運転管理などすべての段階で安全を確保しているが、そうした安全上の想定を超え、さらに大きな事故が起こった場合に備 えての対策」(電力会社広報)だ。

ここでいう大事故とは「シビアアクシデント(過酷事故)」、つまり原子炉内の燃料に大きな損傷が発生するなど、現在の原発の安全設計では前提にし ていない緊急事態を意味する。その起こりえないはずのシビアアクシデントが発生しても、被害を抑える措置ができるように原子炉や冷却装置などのハードウエ アを整備する。同時に、そうしたシステムをどう運用して対応すべきか、ソフト面の行動規範も定めている。

安全対策を二重、三重に講じて完璧を期したはずのその対策は、しかし、福島原発事故では機能しなかった。それは何故か。

東京電力によると、アクシデント・マネジメントには、原子炉の暴走を抑えるために必要な措置として、注水機能や、電源供給機能の強化が盛り込まれ ている。ところが、地震後の大津波で、非常用ディーゼル発電機も含めたすべての電源が失われ、注水ができなくなった。この非常事態を前提とした具体的な対 応策が、東電のアクシデント・マネジメントには存在しなかった。

事故発生後の失策の一つは、1号機に対する海水注入の決断の遅れだ、と複数の専門家は見る。1号機の冷却装置の注水が不能になったのは11日午後 4時36分。消防のポンプ車で真水を注入していたが、その真水の供給も途絶え、原子炉格納容器の水位は低下。冷却機能を急速に失って、翌12日午後3時半 に1号機は水素爆発を起こした。

現場にいた原子力部門の責任者、武藤栄副社長は「それ以前に海水注入の検討を始めていた」と話すが、実際に注入を開始した時刻は午後8時20分になっていた。

海水注入の遅れが水素爆発を誘発し、それが現場の放射線環境の悪化を招く。作業員の活動は困難になり、対応がさらに後手に回る。初動を誤り、スパイラル的に状況が悪化していく悪循環の中で、福島原発は大惨事に発展した。

武藤副社長は「想定外の津波が起こった。アクシデント・マネジメントは様々なことが起きた時に応用手段を取れるようにすることで、今回は最大限の努力を払った」と繰り返す。

<政府もコントロール機能が欠如>

「東京電力も政府も、アクシデント・マネジメントが不十分だった」。原子力工学が専門で、地球環境産業技術研究機構の山地憲治・研究所長はこう指 摘する。「シビアアクシデントが起こった時にどのように対処するのか。技術的な対応だけではなく、発生した時に誰がトップに立って指揮し、どういう体制で 動くのかなどについて訓練や準備が大幅に不足していた」と分析する。

政府にさえ、緊急時対応をコントロールする機能が欠如していた。アクシデント・マネジメントという表現自体は日本の法律には明記されていないが、 同じ事態を想定しているのが原子力災害特別措置法だ。原子炉に大きな問題が生じた場合、政府が電力会社に必要な指示を出すことができると規定している。

だが、政府からは適切な指示が出ていたのか。「自らの考えで海水注入の判断を行った」(武藤栄副社長)というのが東電の説明だ。政府関係者らによ ると、水素爆発後、政府は東電に対して非公式に海水注入を「指示」したものの、それはあくまで東電の責任において行うとの暗黙の前提があった。

「政府は海水注入の判断を東京電力に任せず、政府の責任でやらせるべきだった」と山地所長は主張する。海水を注入すれば、塩分で機器が使えなくな り、「廃炉」にせざるをえない。山地所長によると、福島原発の設備を新たに作り直すとすれば、費用は1兆円程度になるという。東電の経営にとっては重大な 決断だが、「すでに事態は個別企業の問題という枠を超え、国や社会に対して大きな危険が及ぶ状況に変わっていた。原災法に基づいて、政府が海水注入の意思 決定を行い、早く指示を出すべきだった」というのが山地所長の意見だ。

そもそも、政府の対応を決める原災法自体が、原子炉が制御不能になる事態を想定していない。菅直人首相は11日、同法に従って原子力非常事態宣言 を出した。「原災法のもともとの狙いは、原発事故の際の地域住民の避難や屋内退避をどのように行うのかという点にある。制御不能になった原子炉そのものを どうやって止めるのかは主眼に入っていない」と経産省のある幹部は明かす。「誰もリアリティを持って、法律を作らなかった」(同)のである。

<問われる原子力安全・保安院の対応力>

政府の事故対応と状況の分析については、経産省原子力安全・保安院が最前線の責任を担っている。だが、今回の事故は、その役割と遂行機能についても疑問を投げかけた。

今回の事故では東電や関連会社の従業員が発電所に踏みとどまって危機処理にあたる一方で、地震発生時に集まった同院検査官は15日には現場を離脱し、1週間後に舞い戻るなど、その対応のあいまいさが指摘される場面もあった。

「安全性に問題があり、人間が暮らすには不便が多かった」と、保安院の西山英彦審議官は弁明する。しかし、ある経産省幹部は「保安院は大規模な原発事故に対応する訓練もしていなければ、それに基づいて危機処理にあたる能力も十分にあるわけではない」と打ち明ける。

同院は2001年の省庁再編により、旧科学技術庁と旧経産省の安全規制部門を統合、新設された。約800人で組織され、原発の安全審査や定期検 査、防災対策などを担う。全国に立地されている原子力発電所に近接する場所に、オフサイトセンターと呼ばれる「原子力保安検査官事務所」を構え、検査官が 発電所に毎日出向き、運転状況などをチェックしている。

ある電力会社の技術系担当者は、検査官の働きについて「定期検査などは非常に厳しい。機器の寸法を図る測定器の精度までチェックするなど、検査は 念が入っている」と説明する。しかし、民間の原子力専門家の中には「原子炉運転の仕組みなどは、保安院の検査官は電力会社に教えてもらうこともしばしば。 検査と言っても、形だけのチェックをしているにすぎない」などの厳しい指摘も少なくない。

<安全基準への過信、リスクを軽視>

震災発生後、日本政府や東電から流れる情報に対し、海外各国は過敏ともいえる反応を見せた。福島原発からの放射線漏れを懸念した米国政府は、日本 に住む米国民に対して、日本政府の指示を上回る避難指示を出し、同原発から80キロ以上の距離に移動するよう促した。仏政府は自国民に日本からの脱出を助 けるため、航空便を手配。さらに多くの大使館や外資系企業が職員や社員の日本脱出や東京以西への避難を進めている。

海外には、日本が原発に対して高い安全基準を課してきたという認識がある一方、その有効性に対する日本の過信を疑問視する見方も少なくない。

ウィキリークスが公開した文書によると、国際原子力機関(IAEA)の本部があるウィーンの米国大使館は2009年12月、ワシントンに対して、 1本の公文書を送った。そこには、通産省(現経産省)出身で同機関の事務次長(原子力安全・核セキュリティ担当)を務めていた谷口富裕氏について、「特に 日本の安全対策に対決するという点においては、彼は非力なマネージャーであり提唱者だった(Taniguchi has been a weak manager and advocate, particularly with respect to confronting Japan’s own safety practices.)」と記されており、同氏の取り組みに満足していない米国の見方を示唆している。

IAEAは昨年、「世界への警鐘」として、2007年の新潟県中越沖地震についての報告書を発表。そのなかで、これまでの原発の放射線漏れ対策 は、主として装置の不具合や作業員のミスなど原発内部のリスク要因に目を向けていた、と指摘。さらに同地震の例を引きながら、「最大の脅威は原発の壁の外 にあるだろう」として、地震や津波、火山噴火、洪水などの激烈な自然災害の発生を想定し、一段と備えを強化するよう求めた。

その警告は、今回の福島原発の惨事において、どこまで生かされたのか。放射線被ばくの危険にさらされながら決死の注水や電源回復などにあたる現場 の作業員の行動については、国内のみならず海外からも称賛の声が届いている。しかし、翻せば、それは危機への備えが十分にされていなかった日本の現実、と 海外の目には映る。

「私たちがいま目にしている英雄的な行動が何を意味するか、原発が直面している現実を改めて考え直すべきだ」と、世界各地で環境や安全対策の強化 を提言している「憂慮する科学者同盟」(The Union of Concerned Scientists)のメンバーで、原発設計の専門家でもあるエド・ライマン氏は語る。

「彼ら(政府と東電)は地震、津波、原発の緊急時に備えていたかもしれない。しかし、これら三つの災害が大規模に発生する事態を十分に想定してい たとは考えにくい」と、もう一人のメンバーで電力事業のエキスパートであるエレン・バンコ氏も従来の日本の原発対応に疑問を投げかける。

<もたれ合う政府と業界、金融危機の構図と二重写し>

原発推進という利害のもとで、密接な関係を築いてきた経産省・保安院と電力会社。ともに原発の危険シナリオを厭(いと)い、「安全神話」に共存す る形で、その関係は続いてきた。だが、監督官庁と業界の密接な関係は、ともすれば緊張感なき「もたれ合い」となり、相互のチェック機能は失われていく。そ の構図は1990年代の「金融危機」と二重写しのようでもある。

かつて、旧大蔵省銀行局は、銀行の健全性を審査する検査官も含めて銀行と馴れ合い関係に浸り、バブル崩壊で不良債権が積み上がった銀行の危機的な 状況は見過ごされた。背景にあったのは、銀行は決して破綻しないという「銀行不倒神話」だ。95年の兵庫銀行の破綻を契機に、金融危機は加速していくこと になるが、大蔵省は銀行局の破綻処理スキームの構築などで後手に回った結果、金融危機を拡大させていくことになった。最終的に大蔵省は解体され、金融庁の 発足につながっていく。

国策として原子力推進を進める経済産業省に、安全規制を担う保安院が設けられている現状では、強力なチェック機能は期待しにくい。保安院が「原発推進のお墨付き与えるだけの機関」(電力アナリスト)と言われる理由はここにある。

原子力安全委員会の班目春樹委員長は22日、参院予算委員会で「規制行政を抜本的に見直さなければならない」と述べた上で謝罪した。民主党も昨年 の総選挙のマニフェストのもとになる政策集で「独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する」とうたっており、現在の規制体制の抜本見直しは避けられな い。推進と規制の分離が課題となり、保安院を経産省から切り離した上で、内閣府の原子力安全委員会と統合する案が現実味を帯びそうだ。

<競争原理働かぬ電力会社、ガバナンスの不在招く>

民間企業でありながら、地域独占を許されて電力供給を担う東電。特権的ともいえる同社のビジネス環境が、同社のガバナンス確立を遅らせる要因になってきた、との指摘は根強い。

東京電力に緊急融資2兆円―。原発事故を受けて急速に信用が悪化している東電に対し、主力銀行の三井住友銀行など大手7行が今月中に巨額融資を実 行するニュースは、市場関係者も驚かせた。ある銀行アナリストは「経営再建問題に揺れた日本航空に対しては融資を出し渋ったのに、今回は随分と気前がいい 話だ」と話す。

格付け会社のムーディーズ・ジャパンは東京電力の格付けを「Aa2」から2段階下の「A1」に引き下げた。A1は全21段階のうち、上から5番目 だ。社債市場では、国債と東電の社債のスプレッドが従来の0・1%程度から1―2%に拡大。原発事故の成り行き次第では、さらに広がる可能性もある。

東電が各大手行に融資の依頼に回り始めたのは、福島第1原発で爆発が立て続けに起きていた震災翌週のことだ。東電役員が「3月中に実行してほし い。おたくは上限いくらまで出せますか」と伝えにきた、とある大手行幹部は言う。しかも、当初提示してきた条件は格安のLIBORプラス10ベーシスポイ ント。経営危機に直面するリスクの高い借り手には、とても許されない好条件だ。「さすが殿様会社。自分の置かれている状況がどんなに悪化しているのか分 かっていないようだ」と、同幹部はあきれ返った。

原発処理の行方次第では、東電は債務超過も懸念される深刻な局面にある。そのリスクを負ってでも各行が融資に踏み切ろうというのは、「東電不倒神 話」があるからだ。「独占事業を営んでいる東電は潰れないし、政府も潰さない。貸した金は返ってくる」と別の大手行幹部は言い切る。

全国9電力体制の下、料金自由化も進まない電力市場では、業界各社間の競争原理が働かず、「経営規律を厳しくして企業体質を強める」という普通の民間企業なら当たり前の課題も放置されがちだ。

一つの例が、東電の役員構成だ。同社には代表取締役が8人おり、勝俣恒久会長、清水正孝社長の他に6人の副社長も全員代表権を持つ。他の日本企業 では滅多にお目に掛かれない布陣だ。ある電力アナリストは「組織が縦割りで融合していないことの表れ。経営判断も遅くなる」と分析する。

企業として取るべき行動の不備は、地震後の対応でもはっきりと表れた。今回の事故後、清水社長は地震発生2日後に記者会見を行っただけで、あとはまったく公の場所に現れていない。

同社広報は「事故の陣頭指揮を取っている」と説明したが、一時、過労で統合本部から離れていたことも明らかになった。統合本部に入っている政府関 係者は「リーダーシップを発揮しているようには見えない」と打ち明ける。清水社長は資材部門出身で、「原発事故の処理ができると思えない」(電力会社関係 者)との指摘もある。こうした対応に、経産省からも「電力自由化の動きが進まず競争がないため、経営規律が働いていない」(幹部)との声が上がっている。

<エネルギー政策の構造改革に口火も>

今回の原発危機は、東電や電力会社の企業体質に大きな転換を迫るだけでなく、日本のエネルギー政策自体の構造改革に口火をつける可能性もある。政府の中には今回の事故をきっかけに、抜本的なエネルギー政策の見直しに取り組むべきとの声も出始めた。

最大の課題は、原発の安全神話が崩れた今、今後の日本の電力エネルギーをどのように確保するのかという点だ。日本の電力供給に占める原発の割合はすでに約3割に達している。その一方で東電の供給力不足解消の見通しは立っていない。

このままの状態が続けば、企業の生産回復を阻害する構造的な要因になり続ける可能性もある。電気事業法には電力会社による電力の供給義務が盛り込 まれているが、「資源エネルギー庁と東電は法律に違反しない範囲でどのように計画停電を行うかに、すべての力を注ぎこんでしまっている」(政府関係者)と いう。

もう一つの焦点は電力自由化だ。国策である原発推進を二人三脚で進めてきた電力会社と経産省だが、電力自由化では対立を続けてきた。2000年初 頭に経産省が水面下で進めようとしていた発電と送電を分離する抜本的な自由化案は、東電を中心とした電力会社の抵抗に会い、あえなくお蔵入りとなってい る。

原発のリスク負担を今後も民間企業に押し付けるのか。現在の全国9電力体制を維持し続けるのか。これまで避け続けてきたこうした難題に政府は緊急の回答を迫られている。

東電は原発事故に伴う損失で経営自体が困難になることが予想されるが、その先には電力産業自体の構造改革とエネルギー政策の転換という歴史的な変化が待ち受けているかもしれない。

(取材協力:Kevin Krolicki, Scott DiSavino 編集:北松克朗)

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Monday, March 28, 2011

今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし

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今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし

今こそ日本にスマートグリッドを 計画停電では前進なし

2011/3/28 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

日本では疑問視されていたスマートグリッド/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E7EAE2EAE4E2E0E6E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXの 必要性が今、急速にクローズアップされ始めている。世界一停電が少ないとされた日本の電力網への信頼が、今回の東日本大震災で大きく揺らいだからだ。津波 によって引き起こされた福島第1原子力発電所の事故で、首都圏の電力需給が逼迫(ひっぱく)、東京電力は戦後の混乱期以来となる計画停電を敢行する事態と なった。

1.当面の事業機会は、HEMSよりBEMSの方が多い
2.HEMSが事業として成功するカギは「行動科学」にある
3.xEMSはクラウド化、ソーシャル化、スマートフォンの普及と共に進展する
4.日本のxEMSは、互換性と相互運用性の確保が難しくなる
5.スマートグリッドの新ビジネスモデルは米国から出現する
6.電池交換型EV(電気自動車)は中国で普及する
7.Vehicle-to-Grid(V2G)技術の実用化は2015年以降になる
8.日本ではスマートグリッド関連の新しい事業機会は2020年までほとんど無い

図1 スマートグリッドと「xEMS」がつくり出す事業機会  2011年3月31 日に発行予定の『スマートグリッドのビジネスモデル(北米編)』(日経BP社)の一部を基に作成。HEMSはホーム・エネルギー・マネジメント・システ ム、BEMSはビル・エネルギー・マネジメント・システムの略で、xEMSはこうしたエネルギー・マネジメント・システムの総称である。

「日本の電力網はすでにスマート」。この言葉に代表されるように、国内の電力業界はスマートメーターを使って電力需給を制御す るスマートグリッドの導入には消極的だった。このため、日本では今後10年ほどはスマートグリッド市場が成長せず、新しい事業機会やビジネスモデルは米国 が主導するという仮説が成り立っていた(図1)。ところが、今回の大震災で状況は一変する。

■需給の自動調整で計画停電が不要に

日本の電力網は、確かに送電と配電の自動化は進んでいるが、需要側の電力計周辺が欧米の配電網に比べて後れをとっている。このため、電力需要をリアルタイ ムかつ正確に把握しながら需給を細かく制御するといったことが難しい。電力需要のピークが供給能力を上回りそうになると、あわてて意図的な停電(計画停 電)を起こすことで、不慮の停電をなんとか回避しているのが今の状況である。

重要なのはピーク需要の抑制であり、需要側でやみくもに節電するだけでは経済的な悪影響も無視できない。また、今回に関しては何度も停電となった地域がある一方、全く停電がない地域もあり、不公平感が拭えない。

もしスマートメーターで電力を「見える化」し、需要に応じて動的に変動する電力料金プランを導入すれば、いわゆるデマンドレスポンス(需要側の反応・応 答)が機能し始める。例えば、電力需給が逼迫してくれば電力料金を高く設定することで、高い料金を払いたくない消費者は電力消費を抑制する。料金が高くて も使う必要のある企業などが必要なだけの電力を使うことで、限られた供給能力でも自動的に需給バランスを調整できるというわけである。

■スマートメーターの導入進む米国、「仮想発電所」も

スマートメーターの大規模な導入が進んでいる米国のカリフォルニア州では、米Pacific Gas & Electric(PG&E)社や米Southern California Edison(SCE)社といった大手電力事業者によってデマンドレスポンスが実用化されている。実際に真夏のピーク時でも電力の消費需要をうまく調整す る仕組みが機能しているという。

さらに、従来型の電力会社だけではなく、いわゆる「仮想発電所」という新しいビジネスモデルの事業を成立させたベンチャーまで現れている。米EnerNOC社や米Comverge社といった企業だ。

これらの企業は、消費電力を減らす余裕がある需要家を集めてデマンドレスポンスを許容してもらい、電力事業者のピーク需要抑制を支援している。ピーク需要 の抑制に対して電力事業者が支払う報酬とデマンドレスポンスに協力した需要家に支払う報酬との差額が、これらの企業の収益となる。

ピークシフトを担う仕組みは、デマンドレスポンスだけではない。米国では、電力需要の平準化や再生可能エネルギー/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E5E2E3EBE0E2E0E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXの 大量導入に向けて、「エネルギーストレージ」の研究開発や実証試験も活発に行われている。具体的には、リチウム(Li)イオン電池などの蓄電池に加え、電 気エネルギーを運動エネルギーとして蓄えるフライホイール、空気を余剰電力で圧縮して地下の空洞などにためておき、ピーク需要時に空気を開放してタービン を回し発電する圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)といった技術がある。

氷を利用する手法もある。米Ice Energy社の「Ice Bear」は、夏の夜間にオフピークの電力で水から氷を作り、翌日のピーク時に冷房でコンプレッサーの代わりに氷の冷気を使う(図2)。 氷がすべて溶けるまでには数時間かかるので、真夏のピーク需要の時間帯をほぼカバーできるとする。日本でも「エコアイス」として氷蓄熱はかなり普及してい る。しかしこの米国の取り組みは、スマートグリッドに統合することによって、全体最適を目指した動きといえる。カリフォルニア州南部では、この「Ice Bear」を数多く接続して構成する53MW(メガワット)規模のエネルギーストレージによるスマートグリッド実証プロジェクトも進められている。

■今回の危機を新たなる成長のバネに

米国でスマートグリッドの導入が進んだ背景には、電力網の老朽化やニューヨークで発生した大停電、カリフォルニア州の電力危機などがある。日本では電力網の整備はしっかりと行われてきたが、電力の供給と消費のあり方にはあまり着目してこなかった。

今回の福島の原発事故により、その部分を見直す必要性に迫られるが、一方で石炭や天然ガスによる火力発電所を増やして温暖化ガスの排出を増やすわけにもい かない。となれば、スマートメーターを活用して電力需要を適切に制御しながら省エネルギー化を進めることが、有効な手段といえる。同時に、風力発電や太陽 光発電などの再生可能エネルギーと燃料電池/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E4E6E5EBE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX、ガスエンジン・コージェネレーション/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E4E3E0EBE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXなどによる分散電源、Liイオン電池によるエネルギーストレージなどを迅速に普及させる必要がある。

当面は、夏時間(サマータイム)制度や電力の総量規制などでしのぐ手もあるかもしれない。しかし、中長期的にはスマートグリッドの構築による需要制御と再 生可能エネルギー導入に取り組まざるを得ない。それが根本的な問題解決につながるだけでなく、停滞する経済を成長させる原動力にもなるからだ。

例えば、スマートメーターを全国に配備するだけでも、1兆円以上の市場が新たに発生すると見られる。太陽光や風力、燃料電池、Liイオン電池の大量導入も 数兆円規模の市場を生み出すだろう。財源をどう捻出するかなど知恵を絞る必要はあるものの、今回の危機を、次の日本をつくるためのきっかけとする「転換 力」が、スマートグリッドの構築には秘められている。

(テクノアソシエーツ 大場淳一)

Friday, March 04, 2011

Ray Charles, "Be My Love"

DomingoとRay Charlesが、この曲の双璧ではないだろうか。
この曲が入っているLP、"True to Life"を思わず注文してしまった。

Be my love, for no one else can end this yearning;
This need that you and you alone create.
Just fill my arms the way you've filled my dreams,
The dreams that you inspire with ev'ry sweet desire.
Be my love, and with your kisses set me burning;
One kiss is all that I need to seal my fate,
And, hand-in-hand, we'll find love's promised land.
There'll be no one but you for me, eternally,
If you will be my love.

words: Sammy Cahn

不正入試とエントリーシートと「orz」な若者たち

 
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