荒川静香は見事だった。落ち着いていた。前の選手の演技は見ず自分の使う曲を直前まで聞くとか、一つのポーズをきっちり3秒持続させるために「one icecream, two icecream, three icecream」と数えるとか、実によく考えている。NHKの特番で、審査基準変更後、荒川が点の取れる演技とするためにどれだけ苦しんだかを見せていたが、目標達成の手段を一番考え、実践したのが彼女だったのではないか。メダルは意識の外だったように言っているが、点を取ることに対する執念は誰よりも強烈だったように思う。
村主ももっと点が高くてもいいように見えたが、専門家が見ると少しずつ足りないらしい。表現力だけでは点にならない今の審査基準に対応するためには、ドラマとしての流れは多少犠牲にしてでも、点の取れる技を数多く組み込むしかないようだが、村主はドラマを捨て切れなかったのではないか。無論素人考えだが。
プルシェンコを見て考えが変わった。一次元高いところで演技している。ここまでくると、技術と表現の矛盾など解消してしまうのだ。高度な技は、それなくしてはできないドラマ表現のために用いられる、いとも自然に。
音楽だったら、triadと7thしか弾けない演奏家より、9thも自在に弾ける演奏家の方が、優れた表現ができる可能性は高い。
自在という点で、プルシェンコは抜きん出ていた。
国内の競技会が偏差値70台の戦いだとしたら、オリンピックは偏差値80台というところだろうが、プルシェンコは90に達しているのでは。
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